今でも鮮烈な記憶。ビートチャイルドを再び回想する。
- 2014/10/15
- 02 長崎音楽日記
- ビートチャイルド, フジロックフェスティバル, 夏フェス
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野外フェス、夏フェスは今や音楽ファンにはお馴染みのイベントが全国各地で行われている。
その最高峰は現在ならば、フジロックフェスティバルではないだろうか・・・
だが、フジロックフェスが開催される10数年前、日本で初の大掛かりな一大フェスイベントが熊本県阿蘇で開催された。
それが「ビートチャイルド」という一大野外イベントだった・・・正確には一大野外イベントになるハズだった・・・
ビートチャイルドとは!?
ビートチャイルド(BEAT CHILD)は、1987年8月22日から23日にかけて熊本県阿蘇郡久木野村(現・南阿蘇村)にあるアスペクタで行われた日本初のオールナイト・ロック・フェスティバルである。主催はくすミュージック・熊本県民テレビ・BEATCHILD ASSOCIATION。
1987年、この年にオープンしたばかりの熊本県野外劇場「アスペクタ」の杮落しとして行われた[1]。7万2千人の観客を全国から動員した。司会はかなぶんやとマザーエンタープライズの福田信。
当日は、開場が14時、開演が18時、終演が翌朝6時というタイムスケジュールで行われた。オールナイト・コンサートのため、18才未満の入場は禁止された。
出演者
当時、J-ROCKを牽引する新旧のバンド、アーティストが熊本県阿蘇に集合した。オーディエンスは実に7万人を超えた。素晴らしい夏の夜のLIVEになるハズだった・・・
1.THE HEART
2.THE BLUE HEARTS
3.UP-BEAT
4.RED WARRIORS
5.小松康伸
6.岡村靖幸
7.白井貴子&CRAZY BOYS
8.HOUND DOG
9.BOØWY
10.THE STREET SLIDERS
11.尾崎豊
12.渡辺美里
13.佐野元春 with THE HEARTLAND
最低で最高
参加したアーティストの累計アルバム販売数が4000万枚を超えているように、当時の若者たちに絶大な影響を与えていたアーティストたちが所属事務所やレーベルの垣根を超えて集まったイベントのため、3万人の予定だったチケット販売数は、前日には7万人を超えていた。いやがうえにも期待に拍車をかけた。全国各地からツアーバスが出された。
日本でこれだけの規模の野外イベントはこれが初めてだった。筆者も現在のヨメさんと駆け付けた。素晴らしい夜になるハズだった。前日は晴天。期待は高まった・・・
開園前に突然のスコールが襲った。この雨で通路や草地の会場はぬかるみ、入場の列がスムーズに進まず、全員入りきれる間もなく開演となる。
雨は断続的に襲い時間を追う程にそれは激しさを増し、観客はもちろんだが、演奏するバンドやアーティストも容赦なく大雨の洗礼を受けた。会場一帯には大雨警報が出された。でもイベントは続行した。その場にいた誰もが、中止なんか考えていた者はいなかっただろう。大雨で機材は濡れ、音は出なくなるなどセッティングも遅れに遅れた・・・
夏とはいえ、阿蘇の山の中、若い僕らオーディエンスもただひたすら頑張った。何ともいえない連帯感が生まれていた。最後までこのイベントを見届けることが、何だか解らないが今、この瞬間の使命だと感じていた。寒さと疲労に耐えることが出来たのは、出演者の一切手を抜かないパフォーマンスがあったからだ。これがロックなんだ!なんだか解らないがこのパワーがロックなんだ!みんなそう思っていたと思う。
BOØWYの雨に負けないステージの後に急激に気温がさがりはじめ、救護テントに運ばれるものが続出し、救急車が行き来する・・・これがコンサート会場なのか!?
今のヨメさんを気遣った。大丈夫!? 「私は自分に負けたくない。」その言葉が今でも耳の奥に残っている。トリの佐野元春のステージまで必ず観るのだと・・・女とは強いものだ・・・
あちこちで広がる連帯の輪
雨具の用意がなかった僕たちに、ズブ濡れのヨメさんをみて、「これ使ってよ」と見ず知らずの女の子のグループが傘を貸してくれた。ありがたい! まわりを見渡すと、「がんばろーぜ!」「大丈夫か?」と気遣う者、自分たちの傘を貸したり、雨よけのビニール袋を分けてあげる者・・・みんな、最後まで頑張ろう!という想いのピークも雨のピークと重なった・・・ 凄い・・なんだか解らないが凄い! そう思った。
待っていたものは神々しい感動だった。
僕はもう冷たさで足の感覚は無くなっていた。僕もヨメさんも立ったまま眠った・・・お互いを気遣い支えあった。もう意識を越えていたと思う。他のカップルも同じだっただろう。。。
そして、大トリ、佐野元春の登場!ファンであるない、好き嫌いを越えた感動が生まれた。あれほど、降った雨が夜が白々と明け始めるころ、ほとんど止んだ。朝の訪れとともに、佐野元春の「SAMDEY」が演奏された・・・
神々しい感動が、聴衆を包んだ。この感動はその場にいた人でないとけして解らないだろう・・・夜明けの空に向かって誰もが歌った。歌詞を知らない聴衆も何かを歌っている。「最後まで頑張ってよかった」誰もがそう思ったにちがいなかった・・・
今も胸に残る。もしかして自分の人生を変えた野外フェスだったかも知れない。
あの豪雨のおかげで一生忘れられない夜になった。行った人にしかわからないだろう・・・千の言葉を書きならべても表現できない。あの雨に負けずに一晩中頑張った自分たちは凄いぞ。と思った。ロックは偉大である。
そして、今もこうしてあの夜のことを書くと熱くなる自分。その数年後、僕らは結婚した。これもあの夜があったからかも知れない。いまだにロックや音楽が好きなのもあの夜があったからかも知れない。
そしてハッキリとこういえる「最低最悪で史上最高のロックフェスティバルは、ビートチャイルド」だと!!
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